どんな分野でも一流になりたければ、1万時間の練習・努力・学習が必要という「1万時間の法則」。ざっくり計算して、1日3時間を1年333日なら10年なので、少しくらいオフの日があっても10年何かに打ち込めばその分野のエキスパートになれるということですよね。
何かを毎日3時間、それを10年間続けるというのは全くもって簡単なことではありませんが、仮に続けたとしても一流にはなれないだろうな〜と思ってしまいます。この世の中には少ししか努力しなくても何でもできてしまう才能の持ち主がいます。一般人よりも脳の特定の分野を少しだけ多く使える恵まれた人たちなんじゃないの?と思っていますw。そんな人たちが一流の教師に付いて効果的な練習をたくさんこなせば天才の出来上がり。
ま、自分が天才でなくても、何かを10年間やり続けると見えてくるものはありますよね。継続は力なりという言葉の通りですね。でも10年も?と考えると、少し圧倒されてしまいますし、何かに挑戦したり、何かを始めたりする気力を失ってしまいそうになりますよね。
でも今回は「最初の20時間」というお話です。継続的な努力の必要性についてはこちらをどうぞ。
目次
最初の20時間
時間のある方はこのTED Talksの動画をご覧ください。日本語の字幕を表示することができます。日本語が選択できない方はこちらからどうぞ。初めて日本語訳で見ましたが、日本語訳も素晴らしいです。TED Talksの翻訳はどれも素晴らしいですね。同じ人がやっているんでしょうか。1万時間を優に超えたベテラン翻訳家でしょうね。字幕翻訳は時間の制約など独特の難しさがあります。翻訳を学んだ者としては、resourceを「情報源」と訳していたのは嬉しかったですね。(自分の訳が動画の翻訳家の方のと同じ訳だったからw)あと「ズブの素人」という訳もすばらしいと感じました。動画を見る時間のない方は後ほどどうぞ。
プレゼンをしているJosh Kaufman氏ですが、夫婦共に起業家で、在宅で仕事をしており、そこにかわいい女の子が生まれたことで生活が一変したと言っています。もう二度と自由になる時間がなくなってしまうんじゃないか?自分は新しいことを学んで習得するのが大好きなGeek(オタク)なのでそれは困る。Geekなので学習について調べます。1万時間の法則が出てきます。それじゃ何も学べない!というのでさらに調べます。Geekなのでw。
そこで出てくるのが20時間という数字です。7:52辺りからJosh氏はX軸が練習時間、Y軸が上達度合いの単純な学習曲線を聴衆に見せます。肉まんを1/4に切って横から見たような曲線です。放物線ともいいますねw。カーブがなだらかになる部分ってありますよね。その部分をプラトー(Plateau)と言います。フランス語から来てるんでしょうか。この語には、高原とか台地という意味がありますが、成長が停滞する、横ばい状態になる、学習曲線で高原のようになだらかになっている部分のことをいいます。
何かを学び始めてそこそこ上手になれる、そのプラトーの入り口部分までどれくらいの時間がかかるのか?という疑問の答えが20時間というわけです。
つまり、ゼロから始めてそこそこ上手くなれるまで20時間。言語、絵を描くこと、燃えているチェーンソーでジャグリングw、どんなスキルでも大丈夫。毎日45分で約1ヶ月。20時間なら取り分けれますが、単に20時間使えば劇的に上達するというわけではないようです。投資するその20時間を最も効果的に使うために賢く練習をする方法があるとJosh氏は言います。4つのプロセスがあります。
スキルを分解する
手順としてはこうです。
- 自分が習得したいスキルを具体的に特定する。
- そのスキルをより小さなパーツに分解していく。
- その時どのパーツが自分が習得したいスキルを習得する助けになるのか考える。
- 可能な限り最短時間でスキルを上達させるため、その最も大切なパーツから練習を始める
楽器経験者なら分かると思いますが、これは演奏でいうところの部分練習に当たると思います。いつも間違うところ、引っかかるところだけ取り出して細かく練習していく。ピアノならなぜその箇所をミスるのか?指使いが悪いのか?それとも手の動き?楽譜が読みにくい?などと細分化して原因を特定する。そんなイメージだと思います。大人になってからピアノを始めた私の場合、ピアノを始めてしばらくは部分練習などおかまいなしで、曲の最初から最後までを間違えながら弾いて悦に入るということを繰り返していましたがw。部分練習は大事ですね。
でも英語の場合、自分のスキルを上げるのに一番大事なパーツを特定するのは楽器の演奏ほど簡単ではないかもしれません。自分の弱点が何か分かりにくい場合もありますし。褒めるだけでなく、自分の改善できるところも率直に指摘してくれる先生・友人がいればありがたいですよね。
英語を例に取ると、スピーキングを上達させるというスキルに対し、発音を改善するというパーツがあって、その中でさらにRの発音、Fの発音、THの発音というパーツに細分化していけると思います。実際私もTHの発音が正しくできておらず、イギリス人の友人に勧められ、THの部分練習を毎日100回やっていた時期もありました。
自分で修正できるようになるまで学ぶ
どの程度学ぶか?ということですが、本を20冊読み終えてから練習を始るぞ、というのはただの先延ばしだそうで、3〜5つの情報源で十分。練習して間違えた時にそれに気付いて違う方法を試せる、あるいは自分で修正していける程度まで学ぶということが大事になります。
練習の妨げとなるものを取り除く
テレビやインターネットなど気を散らすものを取り去る。テレビやインターネットはあっという間に時間を奪いますよね。強い意思で優先順位を定めれば練習のための時間を確保することができますね。
少なくとも20時間は練習する
最低20時間は練習すると心に決めるなら、「こんなこともできない自分はなんてバカなの?」っていう練習の取り掛かりに感じる「フラストレーション・バリア」を克服でき、努力が結果によって報われるというレベルまで練習を続けることができるようになります。実際最初の段階で挫折してやめちゃう人って多いですよね?
まとめ
Josh氏本人も言っていましたが、このメソッドは言語学習にもほんとうに効果的だと感じます。実際、言語学習者でこの動画を見る人もいるようです。動画の最後(12:30〜)にゼロから学んだウクレレをJosh氏自身が弾き語りする部分がありますが、このメソッドの効果がよく分かる楽しい部分なのでぜひ見てみてください。(日本語字幕だとメドレーの曲名が分かります。)
I have a secret to share with you. So by playing that song for you, I just hit my 20th hour of practicing the ukulele.
20時間の最後をTED Talkの本番に残しておく。最高にかっこいい部分です。
ちなみにJake氏がウクレレを始めたいと思うきっかけとなったJake Shimabukuro氏のTED Talkがこれです。
いや〜感動しましたね。日系5世のアメリカ人で、4歳からウクレレを弾いているということなのでもちろん1万時間は軽く超えていると思いますが、超一流のパフォーマンスでした。テクニック、表現力、アレンジ、間のとり方、強弱の付け方、、、どれも素晴らしかった。静けさの中に感じる深い音楽性が印象的でした。感受性豊かな人なら間違いなくうるっときます。
ウクレレも素敵。鏡面仕上げのメイプルのボディー、ネックにはインレイでJS(Jake Shimabukuro)の文字。オリジナルモデルでしょうね。音も美しいけど、見ても美しい。あと、トークも最高でしたね。とくにエリザベス女王の前で演奏したくだり。Britain’s Got Talentの優勝者がパフォーマンスをするあれです。The Royal Variety Performance。この動画も日本語字幕が出せるので、時間のある方は見てみてください。ほんといい時代になりましたねw。
あとこの動画、録音がすばらしかったですね。家のオーディオで聴きましたが、いい音が鳴っていました。世界的な演奏家だけあってレコーディングもすばらしいスタッフがいるようですね。少し前にSarah AlainnさんのTED Talkを見ましたが、伴奏のピアノの音がひどすぎてがっかりでしたから。
話が少し横道にそれちゃいましたが、20時間で世界を感動させることはできないかもしれませんが、スキルを習得してハッピーになれますし、そのスキルを使って自分の周りにいる人をハッピーにすることはできると思います。Josh氏が動画の最後で言っていますが、新しいことを始める上での大きな障壁は感情的なもの。このメソッドを知っていれば恐れることなく何か新しいことに挑戦することができます。何かを始めて見ませんか?