幼い頃にオーストラリアに移住したフィンランド人の友人が、「9歳くらいまでにその国に移住すれば、その国の言語のネイティブになれるよ」と言っていました。その友人もそうですが、オーストラリアではそんな人たちをたくさん見てきましたが、8歳から18歳まで米国のアトランタに住んでいた韓国人の友人もネイティブのような流暢なアメリカ英語を話していましたし、母国語であるはずの韓国語は英語ほど流暢に話せないと言っていました。海外生活の長い友人たちを見ていると、15歳くらいで移住して高校生活を英語で過ごすならかなり流暢な英語を話せるようになるという印象です。
じゃあ、大人になってから英語を学ぶのは無理なのでしょうか?
大人と子供では言語の習得方法は異なる
人間の左脳は3歳を過ぎると発達し始めるそうですが、言語習得の臨界点は12〜13歳くらいではないかという研究もあります。左脳が発達し終えるのが13歳くらいらしいので、その年齢までなら丸覚えやイメージで英語表現を覚えて話せるようになるようです。実際日本語ネイティブのわたしたちはそんな方法で日本語を話せるようになったわけです。
じゃあ、大人になってから英語学習するの無理じゃん?ってなりますよねw。でも実際はそうではなくて大人になってから新しい言語の学習を始めてその言語を話せるようになる人はたくさんいるわけです。実際そういう人たちをオーストラリアでたくさん見てきました。でも大人の場合、子供が右脳を使って丸覚えをするのとは全く違うプロセスで英語を学んでいく必要があるので、やはり子供が学ぶより苦労は多いと思います。基本的な文法もきっちりと理解すべきでしょう。言語学習を早いうちからやったほうがいいと言われるのは、そんな事情があるからでしょうね。
達成可能な目標を立てる
これ、結構大切なことだと思います。ピアノの発表会で曲を弾くとしましょう。あなたは大人になってからピアノを始めました。最初の発表会でいきなりショパンの幻想即興曲を弾こうとしても、よっぽどの才能の持ち主でもない限り無理でしょうねw。一番いいのは技術的にはそれほど難しくないけど、発表会映えのする音楽的に優れた楽曲を選ぶことかもしれません。努力=コストだとすると、その曲はかなりコスパ高いですよw。
要は自分の現時点の能力を最大限発揮できるような曲選びですよね。英語に関しても同じことが言えると思います。ネイティブのように話せたら素敵だよね〜と思うかもしれませんが(というかみんな思うw)、それは相当高いハードルなので、ものすごい努力が要求されるわけです。日本語を流暢に話す外国人タレント(ハーフタレントではない)などがいますが、実はあの方たちは、挫折を経験し、ものすごい努力を重ねてきた努力家で、日本語を学んだ大多数の人たちはそこまで話せるようにならないっていう事実を、言語を真剣に5年、10年やってきた人たちは知っていると思います。
最初からあまりに高い目標を掲げてしまうと挫折してしまうので、やはり実現可能な目標を掲げることが大事なのかなと思います。例えば発音に関しては、ネイティブのアメリカ人のように、、、ではなくて、日本語のアクセントはあるけれど、自分の言っていることを相手に聞き返されることなく相手に分かってもらえる発音を身につける、など。。。(これも立派な目標ですけどね。)
SMART Goalって言葉知っていますか?難しい話は抜きにしてSmart(賢い/洗練された)なGoal(目標)を立てるための指針です。
つまり、
Specific 具体的に
Measurable 測定可能な
Achievable 達成可能な
Realistic 現実的な
Time-bound 時間を定めた
そんな目標。
別の単語が当てられることもありますが、賢い目標を定める助けになるガイドラインですね。例えば先ほどの、「ネイティブのアメリカ人のように話したい!」ではなく、「毎日5分短い英語の記事を音読する」などというSMARTな目標を立てるということです。
ビジネスの世界でよく使われる手法ですが、生活の様々な面で応用できると思います。詳しいSmart Goalの立て方はいろいろな記事があると思いますが、難易度を下げるという点ではやはり達成可能なGoalを設定したいものです。自分の目標が達成可能な目標なのかどうか、自分だけでは分からない場合もあると思います。ふさわしい人に聞いてみるのもいいかもしれませんね。もちろん大きな夢を持つこともすばらしいのですが、棒高跳びのバーを徐々に上げていくように、達成可能な目標を一つずつ超えていければいいですよね。
遠回りしないための工夫をする
私は大人になってからピアノを始めたのですが、13年ほどレッスンを受けていました。大人になってからだと遅いかな?という思いもありましたが、ピアノが好きだったのと、良い先生に恵まれたこともあり、バッハの5声のフーガやショパンのエチュードなども弾けるようになりました。(当時は。。。w)
そんな私の尊敬する先生が私にさせてくれたことは、弾きたい曲を弾かせてくれるということでした。音楽性の無い機械的なエチュードなどをほとんどすることなく、自分が美しいと感じる好きな曲だけを練習する。最高でしたねw。さまざまなテクニックを網羅するためにエチュードに膨大な時間を掛けるのではなく、その曲を弾くのに必要なテクニックはその曲で身に付けていくという考えのもと、たくさんの美しい曲に触れることができました。(どうしても弾けるようにならず諦めた曲もありましたが。。。)
長くなってしまいましたが、何が言いたいのかというと、自分に必要のないことの習得に時間を掛ける必要はないということです。ボキャブラリーであれその他のスキルであれ、それは今の自分に本当に必要かということを考えるのはとても大切だと思います。自分の夢は何でしょう?海外旅行で不自由なくコミュニケーションが取れること?そうであれば、英語のニュースを読んで分からない単語を辞書で調べても、今の自分にとっては無駄な努力になってしまうかもしれません。興味が無いことであれば苦痛でしか無いですしね。続かないですよね。
パレートの法則と呼ばれる法則(Pareto principle)があります。結果の80%は努力の20%によってもたらされるというものです。掃除で言うなら、最も汚れている20%のエリアを掃除すれば掃除の80%は終わったようなもの、といった具合です。先ほどのボキャブラリーなら、自分が使うであろう20%に焦点を合わせて覚えれば80%の仕事は終わりましたよ、ということです。発音ならば、日本人なら日本人の苦手な20%の発音をがんばれば、発音に関しては80%はOK。遠回りしない方法は他にもたくさんあると思いますが、自分でいろいろ試行錯誤したり、色んな人とアイデア交換を行ったりして、ぜひ自分の夢に関係する20%に努力を傾けたいですね。
まとめ
やはり大人は使える時間が限られているので、いろんな工夫をして、自分の好きな分野で英語を伸ばしていければ長く続けれますし、何より英語学習が楽しくなると思います。