ピアノの思い出 Part 2

音楽

前回はメルボルンで所有していたピアノのことについて少し書きました。そのピアノまだ売れてないんですよね。。。友人の家に2年ほど置かせていただいていましたが、結局その友人にお譲りしました。

前回の記事はこちら。

楽譜を作るということ

ピアノを練習する時間がなかなか取れなかったのでやっていたこととは、自分用の楽譜を作るということです。なぜそんな一見手間も時間もかかることをやっていたのかというと、自分に合った楽譜を作ることによって曲の難易度を下げることができ、結果的に練習時間を減らすことができるということが分かったからでした。

脱線

楽譜を見ながらピアノを弾けるのはタッチタイピングとも少し似ています。キーボードを見ずにタイプできると文字を早く入力できるように、楽譜を見ながら(鍵盤を見ずに)ピアノを弾けると、たくさんのピアノ曲に触れることができます。わたしがレッスンを受けていたピアノの先生は、読書をするようにピアノを弾けると言っていました。読書する時いちいち書かれている文章を覚えないですよね。彼女の場合は楽譜1段分くらいイメージとして記憶できるというようなことを言っていましたので、Visual Memory(視覚的記憶)の持ち主なのかもしれませんが。

脱線終わり

わたしの場合はピアノを始めたのが遅かったこともあり、最初のうちは曲を丸覚えして、鍵盤を見ながら弾くというスタイルでしたが、時経つうちに、弾き込んだ曲なら楽譜を見ながら弾けるようになりました。初見で間違わずに弾くというのは今も苦手ですが、人間の脳の可能性にはほんとうに驚かされます

今では、パブリックドメインになった楽譜を中心に無料で使用できる楽譜を収録するIMSLPというサイトもあり、クラシックを弾く人たちにとっては贅沢な時代となりましたが、曲によっては満足のいく楽譜を見つけるのが難しいかもしれません。

そこでオリジナルの楽譜を作るということなのですが、向いている人というのがいると思います。

楽譜のある曲を弾く(ジャズなど即興ではない)

楽譜を読んで弾ける(鍵盤を見なくてもある程度弾ける)

ピアノを練習できる時間は限られているが、どうしても弾けるようになりたい曲が何曲かある

弾きたい曲の楽譜が見にくい、弾いていて難しく感じる

こういう人たちは自分で楽譜を作ってもいいんじゃないかと思います。楽譜作成ソフトはいろいろあると思いますが、わたしが使用しているのはMuseScore。フリーソフトですが高機能でとても美しい楽譜を作成できます。Wordの楽譜版みたいなイメージでしょうか。タイプしながら楽譜を打ち込んでいきます。

今までにMusescoreで作成してきた楽譜を挙げると、

上原ひろみ:Haze

中村天平:一期一会

バッハ:イギリス組曲 No.5 プレリュード

バッハ:フランス組曲 No.5 アルマンド

Justin Hurwitz:Engagement Party (La La Land)

Sara Bareilles:Once upon another time

などです。

楽譜が市販されていないものなどは、楽譜が存在したとしても見やすい楽譜は少ないですし、歌なら自分のキーで楽譜を作れるのでオリジナルの楽譜を作るメリットは大きいと思います。

楽譜のデザイン

楽譜を作るということは、楽譜をデザインするということなので、見やすく弾きやすい楽譜をデザインすることが大事です。練習時間を減らしたいわけですからね。具体的には、

  1. 譜表間での音符の移動
  2. 臨時記号(♯♭等)や指使いを書き込む
  3. 体裁を整える

などがあります。

譜表間での音符の移動

右手で弾く音がト音譜表とへ音譜表にまたがっている時にまとめたり、両手の距離が近くメロディーラインも似ているのに左右分けて書かれている場合などに一つの譜表にまとめたりして譜読みしやすくしていきます。

臨時記号(♯♭等)や指使いを書き込む

市販の楽譜でもできますが、ミスを減らすために積極的に臨時記号や指使いを書き込むということです。指使いに関してはどんどん変化していくので鉛筆で書いたほうがよいという意見もありますが、鉛筆だと光で反射して見にくく感じることがあるのと、きれいに小さく書き込むのが難しいです。オリジナルの楽譜だと、指使いが変化すれば修正しそのページだけ差し替えすることができます。

前述のバッハのイギリス組曲は臨時記号や指使いもきっちり書き込み楽譜を仕上げました。ちなみに指使いを徹底的に考えると曲の難易度がかなり下がります。市販の楽譜でも自分に合った指使いを考えて書き込むなら相当ミスタッチが減らせます。手にしっくりくる、オーダーメイドのスーツのような指使いを思いついたときは嬉しくなります。あと弾きやすさも大事ですが、きれいな音が出る指使いも大事だと思います。

体裁を整える

見やすさの問題です。それぞれの段に何小節入れるのかを決定したり、区切りのいいところで改ページをしたり、音がたくさん詰まった小節を見やすくしたり、ぴったり何ページで終わらせるなど、文章の体裁を整えるのと似ています。

楽譜を作るのにどれくらいの時間がかかるのか?

最後に作った楽譜がかなり前になってしまったので一つ楽譜を作ってみました。

弾けるようになりたい曲の一つ、ブラームスのインテルメッツォ作品118−2です。

オリジナルの楽譜は結構細かく書き込まれた楽譜でした。今回は指使いや臨時記号は書いていませんが、一日1,2時間作業して数日でできました。臨時記号で埋め尽くされていた中間部への転調を明確にして、すっきりとした楽譜に作り変えました。

まとめ

練習時間と比べると、楽譜を作る時間そこまで必要ありません。何よりも曲の構造を理解でき、曲や楽譜に対する愛着もわきます。しかも弾きやすいので「オリジナルの楽譜=練習したくなる楽譜」と言えるかも。曲を弾きながらさらに改良していくこともできますし。

英語学習で言えば、学びたくなるルーティンを作ってしまえば、すきま時間を英語学習に当てるのが楽になる、というか当てたくなるのではないでしょうか。学習しながら改良していけば、自分に本当にあったルーティンができあがると思います。

楽譜を作る作業、始めのうちは時間がかかるかもしれませんが、やってみると意外と楽しいかもしれませんよ。短くて美しい曲がオススメです。