すばらしい動画を数多くアップロードしておられるバイリンガールちかさんの動画の中でも特にすばらしいと感じた動画の話です。
前回の記事はこちら。
さて、そのすばらしい動画はこちら。内容は動画を見ていただければ分かりますが、メルボルンのシティ中心部の高層ビルに本社をかまえるYellowfinという分析ソフトウェアの開発を行うIT企業を1日見学し、オーストラリアの1企業の働き方をレポートしてくれます。このオフィスビルは、Melbourne Central Station(メルボルン セントラル駅)のすぐそばに位置する51階建てのビルで、以前は日本大使館が入っていました。この動画の価値、プライスレスだと思います。
目次
シティのオフィスビル
シティでは結構いろんなビルの高層階に行く機会がありましたが、どのビルからもすばらしい眺望が堪能できます。眺めがすばらしいのにはいろんな理由がありますが、多分こんな感じ。
- 空気がきれい これは日本に帰るたびにいつも思っていたことでしたが、東京や大阪はほんとうに空気が悪いですよね。いつも霞んでいるイメージ。空も青くないですし、いつも思うんですが、写真を仕事にしておられる方は大変だろうなと。
- 高さがちょうどよい 昼間だと建物の形などもよく見えますし、夜は夜で光の粒の大きさがちょうどよくて、展望台を訪れた誰もがメルボルンの夜景は本当にきれいだと言ってしまいます。
- 緑が多い これが街なの?ってくらい緑が多いですよね。木も背の高いものが多く、ドライブなどをしていて丘の上から街を見下ろすと、まるで森のなかに家が散在しているように見えたりもします。緑の少ない街で育つと、ここはほんとに街なの?と錯覚してしまいます。公園や庭園なども非常に多く、芝生の管理にも政府がものすごくお金をかけてそうな気がします。緑が多いので、ドライブしているだけで癒やされて、すごく幸せな気分になれますw。
- 都市が設計されている これも夜景がきれいに見える1つの理由かなという気がします。あとシドニーと比べると興味深いデザインの新しいビルが多いので、街の景観がおしゃれ。でもシドニーはシドニーでハーバーや坂道や岩などがとっても素敵です。
動画の中で、仕事を取り巻く環境についてのいろいろな話題が出ていましたが、日本で働いたことがある人にとってはどれもとても魅力的なものだったと思います。動画のコメント欄を読んでいてもそのことはよく伝わってきます。では、Yellowfinの文化の中でもオーストラリア的だなと思ったものを取り上げてみたいと思います。
人が入れ替わっていくことが当たり前という社会の仕組み
Yellowfinの社員のゆかさんが言っていた言葉ですが、ほんとにそのとおりだと思います。日本のような引き継ぎなどなくても組織は回っていくということを教えてくれます。引っ越しや移動も日本人と比べ圧倒的に多いですし、変化に対しすごく好意的な気がします。変化や人の入れ替わりが常にあるというのは、空気の入れ替わりが常に起こっているわけで、組織にとってもすごく良いことだと思います。
オンとオフの切り替えがはっきりしている
有給休暇をまとめて取りにくい日本とは違い、年に4週間ある有給休暇をまとめて取っても大丈夫なので、海外など長期旅行に行かれる方も多いです。ある友人などは、3年分の有給休暇をまとめて取り、3ヶ月ほどヨーロッパ旅行に行っていました。子供がいる場合は、スクールホリデーに休暇を合わせなければならないため、旅費(航空券・ホテル等)がかなり高額になってしまいます。仕方ないですが。
スクールバスの文化がない
学校の送り迎えは親が車ですることが多いと思います。午後3時半前後には学校の周りは結構渋滞します。プライベートスクールの周りでは、かなり荒っぽい運転をする高級SUVをたくさん見かけるというのはよくある光景でした。働くママはたいへんですね。そして学校の周りだけでなく、ラッシュアワーは3時半頃から始まります。朝のラッシュアワーも日本より若干早めですね。
顧客に対して持っている義務感の違い
これは、モノやサービスを提供する側とお客さんが対等だという意識があるからだと思います。1人の人間としてカスタマー(1人の人間)と接しているからなんでしょうね。例えば、カフェで間違ったコーヒーが運ばれてきても、親切に作り直してはくれますが、とっても申し訳なさそうにされることはあまりないですね。カスタマーもすぐに怒ったりしないですし。対等なので。そしてマニュアルではないコミュニケーションができるのはほんとうに気持ちがいいです。
曖昧さとリスクに対する考え方
最後にCEOのお二人、Glen RabieさんとJustin Hewittさんのインタビューの中から興味深かった部分について取り上げたいと思います。動画の18:59〜の部分、グローバル企業として、各国の支社の文化的な違いについて語っておられるところです。
The US loves process. They wanna go from one thing from the next and have a document that’s going to be very clear and concise. Whereas Australian, I think, we are very good at working in ambiguity. Much much more flexible in our approach and I think it’s a whole range of reasons which are sort of generally cultural but that makes that so.
I think the difference again is probably around the decision making. It’s much faster to make a decision in an Australian company. less people are involved, you’re not looking for consensus. the amount of meetings and times it takes to move on is very compressed. So for example, selling in Japan what I’ve noticed the number of customer meetings you go to, the number of face to face meetings is extraordinary compared to how we do business here. And that is what saves the time right? Everyone’s busy. It’s just a fact that we kind of move on faster as opposed to spending longer to do a deal or to convince people that this is the way to go etc.
We’re less risk sensitive. Well still that’s a factor in every decision but I think we’re willing to make a decision based on less information sometimes and move forward. So we’re more happy to fail having tried something than not do it at all.
Glen Rabie & Justin Hewitt, オーストラリアの会社に潜入!働き方が最高すぎて震えた!〔#801〕
[訳]
アメリカはプロセスが大好きなんだ。アメリカ人は1つのことから次のことへ行きたがり、すごく簡潔明瞭な書類を残したがる。一方、オーストラリア人は曖昧さの中で仕事をすることが本当に得意なんだ。アプローチがはるかに柔軟で、いろんな理由があるけれど、大体どれも文化的なものだと思う。
(日本との)違いに関して言えば、おそらく意思決定に関してだね。オーストラリアの企業は意思決定がずっと早い。意思決定に関わる人も少ないし、意見の一致を求めてるわけでもない。次に進むためのミーティングの回数や時間はすごく凝縮されている。例えば日本での(製品の)販売で気付いたんだけど、顧客との打ち合わせに足を運び、直接会ってミーティングをする回数は、オーストラリアと比べるとはるかに多い。でも時間を節約できるのはそこだよね?みんな忙しいのは同じだけど、僕たちはより速く次に進む。取引に多くの時間を使ったり、こうするべきですよね、などといろんな人を説得したりはしないんだ。
僕たちはリスクにそんなに敏感じゃない。もちろんどんな決定をするにしてもリスクは考慮するけれど、時には限られた情報で意思決定を行って物事を進めることを僕たちはいとわない。だから何かを全くやらないよりも、やってみて失敗するほうがいい。
訳してみて思いましたが、動画の字幕翻訳がすばらしいですね。翻訳チームがいるんでしょうか。ちかさん、最後にプルーフリーディングだけをしておられるのか、翻訳から全部自分でやっておられるのか、気になるところです。
このインタビューの中で一番興味深かった部分は、アメリカ人がプロセスを重視するのに対し、オーストラリア人は曖昧さの中で仕事をするのが得意だという部分と、リスクをそこまで気にしないという文化です。実はなぜオーストラリア人がさくさくと決定を行い次に進んでいけるのかずっと疑問だったんですね。
ペーパーワークの量はずっと少ないでしょうし、なんとなく感覚で次に進んでいける、その時その場にある情報で条件が満たされていればGOサインが出るわけです。感覚を重視しているんでしょうか。何かをやってみてうまく行かなかったとしても、そこからまた考える。もちろん慎重に物事を行っていくメリットもありますが、何か新しいものを生み出すという意味では、オーストラリア文化が持つこの2つの側面は、かなり強みなのかなとも思います。実際やってみないと分からないことってたくさんありますよね?このやり方、実は結構好きです。
まとめ
実際そんな文化の中で長く暮らしてきたので、日本のやり方を不思議に感じてしまうこともあるわけですが、やはりちかさんのように2つの文化のいいとこどりができればいいのかなとも思います。